集金
11時ごろ、朝日新聞の集金人がきた。
22,3歳くらいのいつもは陽気な若者である。
「あら、今月は早いじゃない。まだ19日でしょ」
「ハイ。ゴールデンウィークで人が足りないので早めに
きました」
「あら、そうなの」と言って1万円札をだした。
「こまかいのありませんか?」
「ないわ。3千円ならあるけど」
「じゃ、ちょっと隣でくずしてきます」と言って
1万円札を持って出て行った。
ここでふと、あらおかしいな。いつもは肩掛けかばん
を掛けていて、そこからお金を出し入れするのに
と思っていると、すぐ戻ってきた。
「なんとかありました」と言って千円札6枚と25円を
返してくれた。そして
「あの、領収書がないんですけど」
「えっ! どうして? そんならお金は払えないわよ」
「あの、きのう雨で濡らしてしまって・・・」
「あっ、そうなの。でも領収書なしじゃ払えないわよ。
詐欺になっちゃうじゃない。そんなに世の中甘く
ないわよ。大変なのは分かるけどこっちも大変なのよ」
すると若者は「すみません。すみません」と言って
1万円札を返してくれた。
わたしならお金を払ってくれると思ったのだろうか。
返してくれたから良かったものの、持ち逃げされ
たらどうしようと一瞬頭の中が真っ白になった。
販売店に電話しなきゃ、と一瞬思った。
魔が指したのだろうか。
2008/04/19 (Sat) 17:21
鬼の居ぬ間
ちょっとインパクトの強い言葉だが、わたしにとっては
大事な時間なのである。
朝9時ごろ、夫が病院に出かけて行った。
それっとばかりに、わたしは行動をはじめる。
まず、はなしが長くなりそうな友人に電話する。
それから、お見舞いの電話をする。
これで40分が経過。
次に下駄箱の上の置物を夏バージョンに変える。
そして洋服ダンスをがさがさ整理していたら
門の引き戸の音がした。
ええっ! もう帰ってきたの。もう少し遅くていいのに・・
夫の顔を見て「随分早いのね。もう少しゆっくり
してくればいいのに」と言ってしまった。
その間たった3時間であった。
夫はまじめ人間でほとんど趣味もない。
だからなかなか外出しないのだ。
やはり家にいられると、思うように家事が運ばない。
というよりやりたくないのだ。
勝手みたいだけどこれは本音である。
一人暮らしも大変だろうけど、今更愚痴を言っても
はじまらない。
残る人生頑張りましょうか。
2008/04/18 (Fri) 09:13
セリフ
「金はありそうだけど時間はないな」
これはあるドラマのセリフである。
初老の紳士が若い男に言われた場面だ。
紳士に扮する俳優・堺正明はプライベートでも本当に
おしゃれだ。
ドラマのなかでも金持ちの役だったが、やはり初老
ともなればおしゃれしていても、時間がないと
思われるのだなあ、と実感した。
わたしは後期高齢者には少し間があるが
「金もなければ時間もない」である。
自慢じゃないけど、あるのは好奇心だけだ。
その好奇心をどこへ向けようかと、これまでも
いろいろトライしてきたが今こうして
ブログに行き着いた。
わたしがブログをやるなどとは思いも及ばない
ことだったが、親しい友人に勧められてはじめる
ことになってしまった。
もともと書くのは好きだから苦にはならないが
70代になっても多くの人がブログを楽しんで
いることに驚いている。
お金はなくても気持ちを吐き出してスッキリ
できればこんな良いことは無い。
いまや、ブログは私にとっておもちゃ? に
なりつつあるようだ。
どこまでできるか分からないけれど
ランキングに一喜一憂することなく
マイペースで書き続けることにしよう。
2008/04/17 (Thu) 11:31
イヤリング
久しぶりにデパートを歩いた。
今更買うものもないし、お金もないけど
季節を感じたくて出かけてみた。
アクセサリー売り場で、ブローチ、イヤリング、ネックレス
の千円均一をやっていた。
いろいろ持っているけど、たまには気晴らしに何か買おう
かなと眺めていると、ふと目についたのがイヤリング。
淡いピンク色の小さい米粒のようなものが固まって
ひとつの花のようになっている。
色も春らしいしピンク色のものは持っていないので、
「これは何でできているの?」と聞いてみた。
「淡水パールです」と店員。
わたしは淡水パールだろうが何だろうが色がきれい
なので、買うことにした。
家に帰ってアクセサリーの入っている箱を開けてみた。
高いものじゃないけど、昔社交ダンスをやっていた
時に買った光ものや、ジャラジャラ長いイヤリング
が沢山でてきた。
もう歳だし付けて出かけるチャンスもないけど
たまには買ってもいいじゃない。
帰宅して早速付けてみた。
「あら、かわいいじゃない!」
2008/04/15 (Tue) 09:22
後期高齢者
「後期高齢者」って軽く言うけど、彼らにだってまだ人生
最後の大切な仕事がある。
なんたって、この世とおさらばしなければならない
重要な仕事である。
これは大変だ。人みな違う。
どうやっておさらばするのが一番良いのかと予定を
たてる訳にもいかず、予定どうりに行くわけも無い。
また、その通りにいかないのが妙味でもあるけれど。
自分も苦しまず楽に、周りにも迷惑をかけずという
理想的なおさらばの仕方があったら教えてほしい
くらいだ。
どんな偉人でも権力者でも富裕層、貧困層でも逃げ場
のない仕事である。
親友恵さんが亡くなってもう4年が経つ。
その恵さんがいつも言っていた。
「まだ大切な仕事があるから死ねないわ。がんばら
なくちゃ・・」って、カラカラ笑っていたのに
1週間の入院であっけなく亡くなってしまった。
わたしが駆けつけた時、ナースステーションで
「恵さんは今朝9時30分亡くなられました」
と聞いた時の悲しみと驚き、足の震えはまだ
記憶に新しい。
昨年6月、母も1周間の入院で亡くなってしまった。
案外簡単になし得る仕事のような気もするけど
人みな同じと言う訳にはいかない。
せいぜい生かされている今日を精一杯、善行を
積んでおいたほうが良いかもしれない。
人生さいごの大仕事を巧く成し遂げられるように。
2008/04/13 (Sun) 10:23
ふつう
珍しく息子が8時半ごろ帰宅した。
一息ついてこう話かけた。
「仕事はどう? 大変?」久しぶりに聞いてみた。
「ふつう・・・」
「ふつうってことは無いでしょ。忙しいとかめんどくさい
とか疲れるとかさ。ふつうの中にもいろいろあるじゃない。
折角言葉がたくさんあるのに使わなきゃもったいないわよ」
息子は口数がすくないほうだ。小学生のころまでは
うるさいほどしゃべっていたのに、中学に入ったころから
しゃべらなくなってしまった。
もっとも、外ではしゃべっているのだろうけど。
どっちにしても、たくさんある言葉を駆使して自分を
主張しなければもったいない。
しゃべるにしても、こうして書くにしてもどんな言葉で
自分をアピールするのかが妙味なのだ。
いくら頑張っても全てをさらけ出すには限りがある。
近年、コミュニケーション不足が指摘されている。
おたがい言葉を尽くして相手を受け入れることができれば
世界平和にも通じるのではないか・・・なんて甘い、甘い。
それにしても言葉が全てだと私は思う。
2008/04/09 (Wed) 22:44
テレビ
食後のあとかたずけをしてホット一息、テレビ欄を見た。
でも見たいものがないじゃない。
タレントやお笑い芸人がバカ騒ぎしてるか、今流行の
クイズ番組か旅か食べ物か、ドラマも何か見たいと思う
ものもない。
結局、ニュースが一番面白いのだが、どのチャンネルでも
同じことの繰り返しでこれまたうんざり。
その中でも、NHKスペシャルは見ごたえがある。
時々のスペシャル番組や報道はおもしろく興味を
そそられる。
また、日曜朝の「題名の無い音楽会」はリニューアルされ
指揮者佐渡裕氏が本格的な音楽を提供してくれそうだ。
これは面白いかもしれない。期待したいところだ。
若い人は昼間テレビを見ることはないだろうから
家にいる時間の長い高齢者向けの番組がもっとあっても
いいのではないか。
それに高い受信料を払っているのだから、もう少し
質の高い見ごたえのあるものを提供して欲しい。
それとも、テレビで報道できる分野はほとんど
開拓し尽くしたのだろうか。
2008/04/07 (Mon) 16:41
K医師
今日夫の検査の結果を聞きに行った。
あれこれの話の後、K医師がこう言った。
「おくさんも大腸の検査をやったほうがいいですよ。
早期発見が大事だから、ご主人ばかりでなく
おくさんも大事にしないと」
わたしは「いえ、わたしはいいです。何ともありませんから」
「なんとも無い時にやったほうがいいんだよ。
手遅れにならないように」
「それは分かってますけど、怖いからまだいいです」
と必死でその場は断った。
いまにも捕まえて検査させられそうな勢いに
おかしくておかしくて笑いが止まらなかった。
そういえばこんなことも言っていた。
「仲がいいんだから大事にしないと」
「とんでもありません。こんな時だけです」
看護士は傍で笑ってるし、どうして医師はあんなに
真剣に検査を勧めたんだろう。
当分の間、夫の外来に付いて行くのは止めよう。
本当に捕まえて予約させられそうな勢いだった。
面白かったけどこんな医師ははじめてだ。
ふつう、こちらから求めないとなかなか満足のいく
説明は得られないのに。
おかげで、夫の結果は良好で一安心。
ああ、面白い一日だった。
それにしても検査なんて嫌だし怖い。
友人が二度とやりたくないと言っていた。
2008/04/04 (Fri) 19:55
春愁
3月後半からなにか落ち込みが激しく何も手に付かない。
なにをやっても空しくて空しくて、こんなことやって
どうするんだろうと思ってしまう。
孫娘のバレエの発表会や夫のポリープの切除があった。
まだまだ私の出番が多く頼りにされてしまう。
周りに振り回されて自分の時間がないせいもあるが
集中力がなく大好きなはずの書く作業からも逃ざかって
いる始末だ。
それでなくても春愁の時期だ。
いつになったら自分を取り戻せるのだろう。
2008/04/02 (Wed) 22:29
千歳船橋へ
さくらも満開となったので、母の居た老人ホーム周辺へ
思い出の写真を撮りに行った。
母と歩いた公園への道。
帰りに立ち寄った小さな喫茶店。
おなじみのおばちゃん。
おばちゃんは、しばらく見ないからどうしたのかと
心配してたのよ、と言ってくれた。
たまたま、きのう「東郷」が届いた。
4月号に 「亡き母を思う」と題したエッセイが載っていたのだ。
それを持参して行ったので、おばちゃんに読んでもらった。
おばちゃんはそうだったの。
可愛いおばあちゃんだったのに残念ね。
寂しくなったでしょうと、慰めてくれた。
そして帰りに、なんとクロワツサンの入った袋を
くださったのだ。まあ、びっくり!ありがとう。
お互い元気で頑張りましょうね、と言ってさよならした。
母の思い出を辿る和やかな1日であった。
母もきっと喜んでくれたことだろう。
2008/03/28 (Fri) 18:11
初めまして。
いつもエッセイを楽しく読ませていただいています。
桜、今年もずいぶんきれいに咲きましたね。
この間千鳥ガ淵へ行って写真も何枚か撮ってきました。
良かったら覗きに来て下さいませ。
by
maru@博士
2008/03/31 (Mon) 14:43
3時間半
今日は半年ぶりの予約診療の日であった。
午後からの予約で、1時半からの診療のはずが
F医師の到着が遅れ3時前になってしまった。
F医師は現在大学病院へ移動され、月2回予約患者
のために来院なさるのだ。
結果は異常なしでほっとした。
「もう15年になるんだなあ。早いね。
僕も30代だったんだな」と感慨ぶかそうにカルテを
繰っていらした。
F医師の執刀で結石の手術を受けてから15年なのだ。
わたしははじめての手術のため不安で舞い上がっていたの
だが、まあF医師のなんとやさしいこと。
あれこれの質問に納得するまで説明してくださった。
そのためか手術当日は不思議なほど恐怖を
感じなかった。
それ以来検査を受けているのだが、ほんとうに運がいいのか
痛みもなく有りがたいことである。
良き医師との出会いで今日の3時間半も苦にならなかった。
15年前は元気印のF医師だったが
最近は落ち着いた語り口で年輪を感じる。
なんとも言えない和やかなひとときであった。
2008/03/27 (Thu) 18:48
すみません
友人Aさんから聞いた話である。
ある大学病院のエレベーターの中でのこと。
車椅子に座っていた品のいい白髪の老婆が周りに気兼ねして
「すみません。すみません」を連発していたというのだ。
階に止まる度に「すみません」という老婆にそこまで
気を遣う必要があるのだろうかと。
年を取って生きていることがそんなに気兼ねしなければ
ならないのだろうかと話していた。
そうでなくても、家族でもお金を払って面倒をみてもらう
人にさえ気を遣っているのにと。
そして、周りに気兼ねしながら生きていたくないとも。
若い世代のために働いてきた老人が、生きていることが
罪悪だなどと思わせるような社会に怒りを覚える。
お金のある人、元気な内はまだいい。
お金もなく頼る人もいない場合、どうしたらいいのだろう。
子供がいても現実は自分の生活に窮窮として、
親の面倒まで見られる人は少ないのではないだろうか。
若い世代だって行く先は同じだ。
自分がその立場にならないと、思い至らないのは世の常
ではあるが・・・
せめて、生きていて良かったと言える老後で
ありたいものだ。
2008/03/25 (Tue) 18:54
さくら
さくらさんも大変ね。
人間の都合で今日開花か明日開花かと騒がれてね。
やっと開花してくれて人間たちが、満開に向けて
また大騒ぎしそうだけど頑張ってください!
さくらさんだって都合があるのにね。
ほっといてくれても何時か咲くのにね。
わたしは今年のさくらは、母が入居していた有料老人ホーム
の近くの公園に行こうと予定している。
母は昨年亡くなってしまったけれど、元気なころ
母を連れてよく散歩に行っていたの。
母といっしょに見たさくらをもう一度この目で確かめたくて・・・
さくらは散り際が潔い。
わたしは潔いと言う言葉が好き。
現実は迷うことも多々あるけれど、
自分を信じてわが道を行くしかない。
あっという間の人生だもの。
もたもたしている暇なんてないわ。
2008/03/23 (Sun) 22:17